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贈与による不動産売却後の確定申告は必要?手続きの流れと注意点を紹介

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川鍋 錠二

筆者 川鍋 錠二

不動産キャリア30年

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こんにちは、いえプロ不動産です。


不動産を贈与で取得し、その不動産を売却した後の確定申告について、悩んでいませんか。不動産に関する税金は複雑で、誤った手続きを行うと思わぬ負担につながることもあります。


この記事では、贈与による不動産の売却における確定申告の基本や、適用できない特例、申告義務、そして申告漏れを防ぐためのポイントまで、分かりやすく解説します。安心して手続きを進めるための参考にしてください。



贈与で取得した不動産を売却した場合の確定申告の基本


贈与によって取得した不動産を売却した際の確定申告では、取得費および取得日が贈与者から引き継がれる「取得費・取得日引継ぎ制度」が適用されます。つまり、贈与者が当初支払った取得費や取得日を引き継いで、譲渡所得の計算に用います。また、取得費が不明な場合には、譲渡価額の5%を「概算取得費」として使用することも可能です。


譲渡所得は以下の式で計算されます:譲渡所得=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除(ある場合)。所有期間に応じ、税率が異なります。所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」は所得税30%+住民税9%、所有期間が5年超の「長期譲渡所得」は所得税15%+住民税5%となり、復興特別所得税(約2.1%)が上乗せされます。


なお、贈与税として支払った金額は、取得費には含められません。贈与税は別途課された税金であり、譲渡所得税の計算上、取得費の一部として取り扱うことはできません。この点は譲渡所得税と贈与税が異なる税制度であることから明確に区別されます。


以下の表は、主要なポイントを整理したものです。

項目内容備考
取得費・取得日贈与者から引き継ぎ贈与者の取得時の情報が基準
譲渡所得の計算式譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−控除取得費不明時は概算取得費(譲渡価額の5%)可
税率(短期・長期)短期:39.63%/長期:20.315%復興特別所得税含む

贈与による取得後の特例適用の可否と注意点


贈与によって取得した不動産を売却する場合には、以下のように特例の適用可否や注意点があります。

特例の種類 適用可否 注意点
相続税の取得費加算の特例 適用できない(原則) 相続や遺贈による取得が前提。贈与では適用不可です。
居住用財産の3,000万円特別控除 適用されないことが多い 贈与により取得し、本人が居住していない場合は対象外になる可能性が高いです。
売却タイミング 節税の鍵 贈与後すぐの売却は税負担が重くなりがち。タイミングの検討が重要です。


まず、相続によって取得した場合に認められる「相続税の取得費に加算する特例」は、贈与によって取得した不動産には原則として適用できません。これは、制度が相続・遺贈を前提として設けられているためです。国税庁や税務の解説においても、贈与取得の不動産には適用できないことが明記されています。なお、一部例外として「相続時精算課税制度」などの特定の制度を利用した場合のみ例外的に認められることがありますが、一般的には適用されないと理解しておくべきです。


次に、居住用財産を売却する際に譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円特別控除」ですが、この特例も、贈与で取得した不動産の場合には適用されにくい点に注意が必要です。たとえば、自身が居住していた実家や居宅を売却する場合には適用されますが、贈与後にすぐ売却するケースでは本人の居住期間が満たされず、対象外となることが少なくありません。


その結果、贈与によって取得した不動産を売る場合、譲渡所得税や住民税などの税務負担が相対的に高くなりがちです。特に贈与税も支払っている場合、その税額は取得費に含められないため、税の二重負担感が強くなることもございます。


こうした観点から、贈与後にすぐに売却するよりも、相続による取得を待つ、あるいは居住用として一定期間使用するなど、売却のタイミングや取得形態を考慮することが、税負担軽減には重要です。


譲渡所得が発生した場合の申告義務と税率


贈与によって取得した不動産を売却して譲渡所得が生じた場合、たとえ贈与であっても利益が発生すれば、翌年の確定申告が必要です。申告期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までです。


譲渡所得に対する税率は、不動産の所有期間に応じて「短期譲渡所得(所有期間が売却年の1月1日時点で5年以下)」と「長期譲渡所得(同5年超)」に分かれ、それぞれ税率が異なります。以下の表にまとめます。

区分条件(1月1日時点)税率(所得税+復興特別所得税+住民税)
短期譲渡所得所有期間5年以下約39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
長期譲渡所得所有期間5年超約20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

たとえば所有期間が5年以下で譲渡所得が500万円の場合、約198万円が税金として必要となり、所有期間5年超であれば約101万円で済みます。税率差が大きいため、保有期間の判断は重要です。


また、譲渡所得がマイナス、つまり売却によって損失が出た場合でも、他の譲渡所得との損益通算や繰越控除を活用できる場合があります。居住用不動産の3000万円特別控除など、特例の適用要件に該当する場合は、たとえマイナスでも申告が必要となることがありますのでご注意ください。


申告漏れ防止と手続きのポイント


まず、取得費が不明な場合でも安心です。不動産の売却代金(収入金額)の5%を「概算取得費」として扱う制度があります。取得費の資料が残っていない場合には、この方法で譲渡所得を計算することができます。ただし、実際の取得費がそれより高い場合は、課税額が過大になる可能性がありますので、購入時の契約書や領収書などはなるべく保存しておきましょう。特に建物は減価償却の影響を受けるため注意が必要です。


次に、申告忘れによる罰則についてご説明いたします。確定申告を期限内(その年の翌年2月16日から3月15日まで)に行わないと、「無申告加算税」や「延滞税」が課されることがあります。税務署からの指摘を受けると、追徴税のみならず信頼性の低下にもつながりますので、時間に余裕をもって準備し、必ず期限内に申告を済ませることが重要です。


最後に、申告準備をスムーズに進めるためのおすすめの段取りをご紹介します。以下の3つの書類を確実に揃えておくと、漏れや混乱を避けやすくなります。

項目内容
売買契約書売却価格や契約日などを証明する最重要書類
登記事項証明書不動産の権利関係や面積を確認できる書類
取得費・譲渡費用の内訳書類購入時・売却時の費用(仲介手数料、印紙税など)の領収書等

まずはこれらを整理・確認し、確定申告書作成の際にスムーズに入力できるようにしましょう。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、必要な書類をまとめて案内してくれる機能もありますので、ご活用いただくと効率的です。


まとめ

贈与によって取得した不動産を売却した場合の確定申告についてご説明しました。取得費や取得日は贈与者から引き継がれるため、譲渡所得の計算や申告には注意が必要です。また、贈与不動産には「相続税の取得費加算特例」や3,000万円特別控除など一部の特例が適用されない場合が多く、税負担が大きくなる傾向があります。所有期間や税率をしっかり確認し、申告時には必要書類を漏れなく準備し期限内に手続きを進めましょう。正しい知識と準備が大切ですので、不安な点は専門家へ早めに相談されることをおすすめします。

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